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メンタル疾患が疑われる職員対応(2)

ある看護師長の悩み

「病棟の看護師のなかに、日頃から言動に問題があり、職務怠慢の問題職員がいます。事あるごとに注意するのですが、その都度理屈をこねて「ああ言えばこう言う」タイプの典型です。3月に入り度々欠勤を繰り返し、挙句の果てに「コロナかもしれません。しばらく休みます」と師長が許可もしていないのに勝手に休業に入りました。もうどう対処していいのかわかりません」

見極めは難しいが、素行不良には毅然とした対応を

 この看護師は精神科病棟で働く40台半ばの独身男性です。上司である病棟師長や事務長が日頃から手を焼いていた問題職員で、普段から言動や行動に問題がありました。

 新型コロナウイルス感染症が流行し始めた昨年3月に入ってから度々欠勤するようになり、3月下旬になり、「コロナにかかったかもしれません。しばらく休業します」と、有給休暇を使って一方的に休業に入りました。

 しかも、注意する師長に対して「病棟でコロナ感染が広がってもいいんですか!?」との脅し文句を添えて……。

 この〝自称コロナ〟について当初から師長はメンタル疾患を疑っていたため、あまり強い注意や指導は控えていたようです。しかし、彼の言動はますます常軌を逸していきます。

 休業から復帰した4月中旬のある日、師長に対して、「日勤は週3日のパート勤務で、夜勤のときは正規職員としてやりたい」と身勝手なことを申し出てきました。さらに、夜勤は正規職員でという理由を、「僕は冷房が苦手なので、夜勤は毛布にくるまっていられるから」と説明します……。

 ここでさすがの師長も音を上げて事務長に助けを求め、事務長が私に今後の対応について相談してきました。

 ここまでの状況を勘案すると、とるべき対応は、「メンタル疾患者への対応」か「勤務態度・素行不良者への対応」なのか困惑するところですが、私が事務長に助言したのは迷うことなく「後者」です。勝手に休業した経緯や休業後の身勝手な要望などを考慮する限り、必要なのは温情ではなく、組織としての毅然とした対応です。

なあなあにしない。職務怠慢を厳しく諭す場面

 この事案を就業規則上の観点から検討してみます。

 彼のこれまでの言動を考慮すれば、なんらかのメンタル疾患は疑われなくもないですが、休職事由の「精神または身体上の疾患により、労務の提供が不完全であり、療養を要する」に相当する状況とは言えません。それ以前に、懲戒に値する行為がこれまで散々行われており、控え目とはいえ注意・指導を繰り返しても改まらなかったことは事実です。

 実務上の対応は、面談で事情を聴きとり、「諭旨退職」を視野に入れつつ厳重注意を行います。諭旨退職とは、解雇とは異なり、自発的な退職として退職届を提出させることで、退職金も支給されます。

 そこで、事務長、師長、主任と本人とで四者面談の場を設けました。彼が要望していることがいかに常識を逸脱しているか、これまでの言動や行為は重大な懲戒対象であることなどを説いたうえで、本人に事情を聴取したところ、彼の口から出た言葉がこうです。

「稲荷の攻撃を受けたから」

「………?」

 一同唖然。どうやら数年前に稲荷の攻撃を受けて以来、体調に変化を来しているというのですが……。

 彼にとっては、自分の要望を全く聞き入れてもらえないこともあり、また厳しい対応を迫られたこともあって、結局、母親と相談して自主退職することになりました。

 メンタル疾患がある程度想定される今回の対応には少なからず労務リスクを伴いますが、そこを曖昧にすれば職場の秩序は保てませんし、本人のためにもなりません。今回のケースは、職務怠慢、職務命令違反、職場の秩序を乱したことによる毅然とした対応が必要な場面です。

カテゴリー: 介護 医療

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