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メンタル疾患が疑われる職員対応(3)

ある総務課長の悩み

「1カ月ちょっと前に中途採用した看護師(30代、女性)が突然出勤しなくなりました。再三の出勤要請にも応じず、師長と総務課長とで自宅にも行きましたが出てきません(おそらく居留守のよう)。時々電話がつながると、本人は「続けたい」「出勤します」と言うものの、その後も出勤せず。休職を検討しようにも就業規則では医師の診断書を必要としているため、それも対処できません。病院としては辞めてもらいたいのが正直なところですが、どう対応すべきか」

採用1か月で無断欠勤が続く看護師の退職手続きへ

 無断欠勤の日数の長短はありますが、一般的に「よくある話」です。就業規則にもとづき普通退職扱いか、懲戒解雇とするケースですが、今回の状況と論点は次のように整理されます。

・出勤の督促を再三にわたり行っている

・上記のプロセスを日時入りで記録(証拠)を残している

・無断欠勤等による退職ついて就業規則に規定があり、「周知」されている

・30日以上の欠勤は続いているが、出勤の意思は示している

 問題を少々ややこしくさせているのが4つ目の「出勤の意思は示している」という点です。

 今回のように職員と連絡が取れなくなった場合、実務上は無断欠勤として扱い、そのまま音信不通となった日数(一般的に14日以上)により懲戒処分を検討します。そして、なおも出勤の督促に応じず、本人と連絡が取れないまま1カ月以上経過したときに、就業規則の普通退職条項の「職員が行方不明となり、30日以上連絡がとれないとき」などの規定にもとづいて自然退職扱いとするのが一般的です。

 また、業務上の重要書類とロッカーの鍵を持ち帰ったまま無断欠勤を続けているため、懲戒解雇もあり得るケースなのですが、「続けたい」「出勤します」という本人の意思表示が示されている以上、安易に退職や解雇の手続きをとることもできません。

 ちなみにこの病院は、経験者採用の場合には試用期間は設けておらず、休職規程に「1年未満の者」という除外規定もないため、仮に、メンタル疾患を理由に医師の診断書が提出されれば、休職を適用する余地は残されており、総務ではそれも視野に入れた対応を当初はとっていました。

 今回のようなケースで目指すべきは退職勧奨による合意退職ですが、出勤の督促に応じない状況から、私は事務長と総務課長と相談して、「現状のままだと〇月〇日付けで普通退職扱いとなる」旨の最後通告の書面を通知して決着させることにしました。

 しかし、発送直前になって、突然本人が病院にやってきて、書類や鍵類返却し、退職していったとのことですが……。

 後日談ですが、この看護師、当院に採用された後、前職の雇用保険の喪失手続きのズレが発覚するなど、無断欠勤の〝常習犯〟の可能性もないわけではないと聞かされ、なんとも後味の悪い結末となりました。

カテゴリー: 介護 医療

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