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続・看護職の働き方改革(6)

ある看護部長さんの悩み

「看護職が働き続けられる職場を目指してさまざまな業務改善に取り組んでいますが、スタッフの多くは勤務時間内に仕事を終わらせる意識が低く、あまり成果は出ていません。時間内に仕事を終える脱残業のポイントはなんでしょうか」

「勤務時間に区切りをつける意識」を醸成すること

 24時間365日稼働し、昼・夜交代制で働く医療現場の労働時間管理で最も重要なポイントは、勤務時間内に仕事を終える意識、言い換えれば「勤務時間に区切りをつける意識」を醸成することです。これについては病院の実情により対応方法や費用対効果が多少異なりますので、十分に検討してから取り組んでください。

【対策1】勤怠管理の方法を改める

 出勤簿に押印するのみの勤怠管理の方法をとっている病院がタイムカード等を導入するだけで一定の効果が出ます。出退勤時刻が客観的に記録されることで、少なくとも始業時刻より相当早く出勤する職員は一定数は減ります。

【対策2】残業申請の方法の改める

 タイムカード等を導入している病院で常に問題視されているのが、タイムカード等の打刻記録と時間外申請との「乖離」の問題です。残業申請は提出されていないのに、タイムカードの退勤時刻は定時より1時間も遅いといったケースです。

 あるリハビリテーション病院では、時間外勤務申請書に「タイムカードの乖離理由」まで記入・申請させる勤怠管理の手法を取り入れており、30分以上の乖離があった場合に、乖離理由を「雑談」「自己研鑽」「帰り支度」から選択する仕組みです。この方法を定着させることで、「時間内に業務を終える」「決められた時間に帰る」という意識を職員に植え付けることができたといいます。

【対策3】病棟で「終礼」を日課にする

 近年は病棟で「終礼」を実施する看護部が増えました。毎日、日勤終了間際に、できるだけ病棟の勤務者全員がナースセンターに集合し、残務の確認などを行い、残務をサポートしたり、残業する職員を選定します。いったん全員が集まることで業務終了を意識付け、無駄な残業の削減に効果を上げている病院もかなりあります。

【対策4】日勤・夜勤でユニフォームを変える

 日勤と夜勤でユニフォームの色を変えることで、前残業も居残り残業も削減できた事例が熊本地域医療センターの取り組みです。この事例は日本看護協会のポータルサイト「看護業務効率化先進事例収集・周知事業」に詳しく紹介されていますのでぜひ参照してみてください。たくさんのヒントが詰まった好事例ですので。

 日勤と夜勤のユニフォームの色を変えることで、勤務終了時刻を過ぎて残っている職員が明確となります。それにより主に次のような効果が現れたといいます。

*視覚的に時間外勤務をしているスタッフが判断できるため(残っていると目立ってしまう)、定時で仕事を終わらせることの意識が高まった

*仕事にメリハリ、勤務時間内外の区別が明確になった

*人を探すのに手間が省ける

*交代可能な業務が減少した

*引き継ぎ可能な業務は次勤務に引き継ぐという意識の変化が生まれ、協力体制が強化された

 また、ユニフォーム2色導入後の医師の反応として次のような成果がありました。

*日勤と夜勤、ナースの責任者や担当者が探しやすくなった(探す時間の短縮)

*夜間の状況を誰に尋ねればいいのか探さずにすむ

*指示がだしやすくなった

*夜勤明けと知らずに指示をだすことがなくなった

*遅くまで残っているナースに、早く帰るように促すようになった

*けじめのある良好な風土になった

 この病院では、ユニフォームの取り組みだけでなく、情報収集時間の確保や情報収集方法の変更など引継ぎを工夫し、またベッドサイドで前勤務者と患者情報の確認を行うようにすることで、始業時間の20分以上までに出勤する「前残業」の解消にもつなげました。 

カテゴリー: 介護 医療

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