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看護管理者のマネジメント(7)

after・withコロナ――

ある看護師長さんの悩み

「時間外をつける基準が部署によりあいまいで、個人差があります。仕事の指示の出し方も人により違い、分かりにくいと、スタッフから不満が出ていて、どう対処したらよいものか……」

指示や報告をするときは「定量化」して伝える

 スタッフに指示するときと同じように、師長は看護部長や事務部門に現場の状況等を説明するときも「定量化」して伝えることが大事です。そのためには、業務の所要時間を見積もらなければなりません。例えば、こんなやりとりがあります。

病棟師長:「とにかく業務量が多すぎて、いっぱいいっぱいです。これ以上、仕事を増やさないでください。それか人を増やしてください」

看護部長:「いっぱいいっぱいって、どのくらい?」

病棟師長:「とにかく、大変なんです!」

 これでは現場の大変さはうまく伝わりません。看護部長も事務部門や上層部に具体的な説明ができません。

 特に人事に人員の補充を依頼する場合は、育児短時間勤務や日勤専従者の増加による欠員状況を明らかにした上で、何人必要なのかエビデンスを数値で示して説明しないとなかなか理解は得られません。

 仕事の所要時間については、その業務が「突発的業務」か「ルーチンワーク」か、区別して見積もります。

 突発的業務であれば、所要時間を記録して「以前この業務に1時間かかった」と、ルーチンワークであれば、オペレーションや報告業務などスタッフ全員の所要時間を毎回記録して、標準的な所要時間を見積もります。

 仕事の所要時間を見積もる作業は容易ではありませんが、仕事の割り振りや的確な指示出しには必要な作業です。「どの業務を、どのレベルで頑張るべきか」というチームの指針にもなります。

 1つの業務に、誰が、どのくらい時間をかけているのかということを客観的に把握します。「情報収集も記録も能力差で所要時間は違う」のは当たり前ですが、その違いを数値で把握すると、より的確な仕事の割り振りができるようになります。

「報連相」にも「ルール」があるとムダが省ける

 指示出しの定量化から話は少しそれますが、報告や連絡業務を効率化して業務改善に努めいている、千葉県内のリハビリテーション病院の事例を紹介しましょう。

 この病院では、廃止すべき業務、回数や時間・期間を短縮すべき業務、内容を簡便化すべき業務を、部署ごとに提案してもらい、病院として採択した案件を一覧にして全職員に配布し、業務改善を促すことで、「業務の適正化」を図っています。

 例えば、セラピスト部門で採択した事項に、「報告・連絡・相談の時間の徹底を図る」という提案がありました。これは、報告・連絡・相談をする際は、「最初に件名を伝える」こと、その上で、「報告・連絡は3分以内」、「相談は5~10分」とすること。さらに「フィードバックは15分以内」を徹底するといったローカルルールです。お互いに時間を確認し、終了時刻を言ってから「報連相」を始めるそうです。

 人に伝える能力と受け止める能力には個人差がありますが、報連相はスキルではなく「習慣」です。その習慣をチームに根付かせるためには、一定のルールと管理職の〝しつこさ〟が必要です。

 こうしたことの積み重ねが「時間内に仕事を終える意識」の醸成にもつながるのです。

カテゴリー: 医療

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