after・withコロナ――
ある病棟師長さんの悩み
「能力の劣るスタッフや定時を過ぎてもダラダラと居残っているスタッフに〝時間内に終える意識〟をどう持たせればよいのか……」
同じような問に対して、前回までは、残業許可制の重要性と、実効性のある運用のポイントについて取り上げました。今回は少し視点を変えて、「仕事の割り振り方」、「指示の出し方」について考えてみます。
中間管理職がプレイヤ-として〝頑張りすぎない〟
病院の場合、師長や主任などの中間管理職が〝プレイングマネジャー〟として頑張りすぎているケースが多いように感じます。管理職自身がプレイヤーとして多忙なため、「スタッフのマネジメントを考えている余裕なんてありません」と師長たちから言われることもあります。人員不足の職場や急性期病院ほどその傾向はあるかもしれませんが、管理職の大事なミッションを忘れてはいけません。
「自分が休んでも業務が回るような仕組みをつくること」
例えば、主任はマネジメントの視点を持ちながら、スタッフと同じように患者のケアにもあたるため、師長に比べればよりプレイヤーとしての働き方が求められます。「最善のケア」を提供できる環境づくりのマネジメントは必要ですが、そのためにはスタッフのマネジメントが非常に重要です。
中間管理職がプレイヤ-として〝頑張りすぎない〟ことを、もっと考えてもいいのではないかと思います。
能力不足のスタッフには目標値を「定量化」して指示する
スタッフに仕事を指示するときは、「何をしてほしいか」「何に使用するか」「どのくらいで終えてほしいか」といった、目的や期限・時間を明確にして指示することが大事です。そうすることで「時間内に終える意識」が醸成されていきます。
「何がゴールなのか」がスタッフに伝わらないまま仕事に取り掛かると、何度もやり直すことになりかねません。指示されたスタッフもゴールが不明瞭だったり、「この仕事は本当に必要なのかな?」と感じながら仕事をすると不快なストレスが溜まるだけです。そもそもやらなくてもいいことに時間をかえるほどムダなことはありません。
逆に、「前残業」でよくあるケースですが、今やらなくてもいい点滴準備や薬剤準備などを自主的にやっているスタッフには、「いつやればよいか」の指示を徹底したほうがよいでしょう。
時間の目安は、いつまでに終えれば業務に支障がないのかを見据えた上で指示を出す必要があります。
「今日中に」、「できるだけ早く」という指示はあいまいかつ主観的です。残業の指示を出すときも「1時間以内に」と目標値を定量化して伝えてあげれば、スタッフは「何を」、「どこまでやればいいのか」を客観的に把握することができます。こうした指示の出し方は、新人や仕事の遅いスタッフには欠かせません。
注意してほしいのは、残業指示をする場合に、「その仕事は30分以内で終えて」と指示するのと、「30分以上は認めない」(超えた場合は残業代を支払わない)と制限するのとでは意味合いが違うということです。
指示した時間を超えてしまった場合は、仕事量の見積もりを誤ったのか、指示されたスタッフの資質の問題か(そもそも人選ミスか)などをしっかりと検証し、以後の改善につなげていくといいでしょう。
「あぁ、面倒くさい」と思うかもしれませんが、管理職の大事なミッションです。
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