ある看護部長さんの悩み
「看護職が長く働き続けられるために優先的に取り組みたいのが夜勤負担の軽減です。必要以上の夜勤免除は公平感の担保が難しいため今のところ考えていませんが、夜勤時間の短縮、夜勤後の休日や勤務間インターバルの確保などはできる限り取り組みたいと考えています。具体的にどのように取り組んでいけばよいのか……」
2021年3月、日本看護協会(以下、「日看協」)が「就業継続が可能な看護職の働き方の提案」として、5要因・10項目を公表しました(表2)。この提案は、2019年に全国の病院、有床診療所、看護職員を対象に行った「病院および有床診療所における看護実態調査」をもとに、看護師が働き続けられるための要因を5つにまとめ、それぞれの要因に対して対応策を提示したものです。自施設で取り組む際の看護職がなぜ離職しているのか、その原因を分析し、問題解決していくうえでの参考になるでしょう。
「11時間」の勤務間インターバルの確保
勤務間インターバル制度の導入促進は、厚労省が「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」を用意して推進している働き方改革の重要施策の一つです。インターバルの時間数について、何時間以上でなければいけないという法律の定めはありませんが、同助成金の支給対象を9時間と11時間の2段階としていることからも、最低でも9時間の勤務間インターバルを導入することが必要とされています。
また、診療報酬上も、「夜間看護体制加算」で、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護要員に11時間以上の勤務間インターバルを設けることが加算要件になっています。なお、2020年の診療報酬改定において、夜間看護体制加算の加算要件の中に「夜勤後の暦日の休日確保」、「柔軟な勤務体制の工夫」「ICT、AI、IOTなどの活用による看護要員の業務負担軽減」の3つの要件が追加され、看護職の夜勤負担の軽減がいっそう求められています。
看護職の場合、勤務間インターバルを確保する方法としては、勤務表作成時点で、勤務間隔を11時間以上確保できるように編成するのが一般的で、勤務計画作成基準にルール化している病院もあります。ただ、日看協の調査によると、3交代制の施設のうち勤務間インターバルを「11時間以上あける」ことを実行できている病院は44%というのが実情です。
勤務間インターバルを11時間とルール化した場合、たとえば、前日の時間外労働等により、9時間の勤務間インターバルしか確保できないときの対策として次のような方法が考えられます。
①始業時刻の繰り下げ
翌日の始業を2時間繰り下げて、終業時刻も2時間繰り下げる(所定労働時間に変更なし)。どの施設も就業時間の繰上げ・繰下げ条項として就業規則で規定していると思いますが、インターバルを確保できたとしても、帰るのが2時間遅くなるため職員は嫌がる人が多いものと思われます。
②2時間の時間単位年休を与える
始業時刻から2時間の時間単位年休を付与し、終業時刻はそのまま(所定労働時間より2時間減)。給与の減額もないため職員には①よりは好まれると思います。
続・看護現場の働き方改革(3)へ続く
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