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医師の2024年問題(1)―副業・兼業

ある民間病院の事務長さんの悩み

「医師の働き方改革のなかで、副業先の労働時間についても把握する必要があるとのことだが、当院に宿直医として来てもらっている大学病院の先生にも影響が出るかもしれない。労基署に宿日直の許可も受けていないし、医師の労働時間管理をどのように行っていけばいいのか……」

 時間外労働の上限規制が医師にも適用される2024年4月に向けて、課題は山積です。

 時間外・休日労働が年間960時間を超える医師がいる病院では、「医師労働時間短縮計画」の作成に取り組む必要があります(努力義務)。加えて、副業・兼業先での労働時間も通算して時間外・休日労働の上限を超えないようにする「労働時間の通算」の問題も重くのしかかってきます。

「許可なし宿日直」を続けてきた地域の病院とて例外ではなく、宿日直許可申請の必要に迫られるなど、上限規制とは無縁の病院にも影響は波及しそうです。

 コロナ禍で準備が遅れている病院が多いなかで、「医師の2024年問題」に向けて、着実に取り組みを進めていく必要があります。

「労働時間の通算」と医師の副業・兼業との関係

 副業・兼業を行う医師がいる場合に、「自院での労働時間」と、医師の自己申告により把握した「副業・兼業先での労働時間」を通算して、時間外・休日労働の上限を超えないようにする義務を負う。これが医師の「労働時間の通算」の問題です。

 労働基準法第38条第1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めていますが、この問題と、医師の副業・兼業については以前よりその位置づけが課題となっていました。そこで、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」(以下、「検討会」)の提案により、「大学病院や地域医療支援病院などのうち、医師の派遣を通じて、地域の医療提供体制を確保するために必要な役割を担う医療機関」について「連携B水準」(派遣先との通算で年1860時間までの時間外・休日労働が可能)が新設されました。

 実際、大学病院の勤務医について、副業先の病院で宿日直許可を得ることができれば、時間外労働の上限(1860時間)をクリアしやすくなるという声は多く、「検討会」においても、「副業・兼業先の宿日直許可の有無を把握したうえで、必要に応じて副業・兼業先に宿日直許可の取得を促すことが重要」と提言しています。

 宿日直については、「許可のない宿直は労働時間として把握・管理を行うこと」(令和元年7月1日 基発0701第8号)から、大学病院の勤務医が副業先で宿直を行い、(夜勤扱いとしている場合を除き)宿日直許可のない場合は休憩時間を除いた時間を労働時間と扱ったうで、本院での時間外労働に通算して上限時間の検討を行うことになります。

 上限規制とは無縁の「副業先」の地域の病院が宿日直許可の申請に迫られている背景のひとつがここにあります。

(2)へつづく

カテゴリー: 介護 医療

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