ある看護部長さんの悩み
「長く続いたコロナ対応で離職者も増え、現場は相当に疲弊しています。一方では、コロナ後の離職防止のためにも、1年以上も止まっていた「働き方改革」を進める必要があると感じています。ただ、現状ではどこから手をつけていいのかわからないのが正直なところ……」
働き方改革?
取り組もうと、重い腰を上げたところにコロナがやってきた――。
コロナ禍という、長い長いトンネルの中で止まっていた医療現場の「働き方改革」を前に進めなければいけません。コロナ後も働き続けられる職場づくりのために――。
職種間コミュニケーションがますます重要
新型コロナ対応に追われる医療機関の多くから「働き方改革どころではない」という声が今も聞かれます。しかし、スケジュールが決まっている医師の働き方改革は特にコロナ禍を理由に改革を先延ばしにするわけにもいきません。また、看護職の離職問題も深刻です。日本看護協会が2020年秋に公表した調査では、新型コロナ対応を理由に看護職が離職した病院は15・4%、感染症指定医療機関では21・3%に及ぶことが明らかになり、看護職の離職をどう防ぐのかは、コロナ禍の病院の経営課題の一つです。
その意味でも働き方改革は喫緊の課題ではあるのですが、大事なのは、できるところから少しずつ改善に取り組むというプロセスです。どこから手をつけていいのかわからないような場合はとくに、「改革」というよりも、「適正化」と考えたほうが取り組みやすいと思います。
例えば、時間外勤務の削減や業務の効率化を考えたとき、記録方法を標準化する、サマリー記載のポイントを整理して書き方を統一する、物品の置き場や管理方法を統一するといった、すぐにでもできるところから取り組みます。
また、医師の労働時間を管理したいと考えたとき、出勤簿の形式を改善するケースがあります。時間外の理由を手書きする方式から、医師が面倒がらずに記入できるよう、「手術」など該当するものにチェックする形に簡略化することで、出勤簿とタイムカードのずれが少なくなった事例もあります。小さな一歩ですが、医師に時間の区切りをイメージさせる効果は期待できます。
さらに、職場の風土や慣習などに問題があれば、そこを適正化することが改革の前に必要でしょう。
「他職種連携」や「タスク・シェア」は医療現場の働き方改革の重要課題の一つですが、看護部は医師に不満だらけ、医事課は看護部に不平不満が募り、看護師とリハビリ職は仲が悪い……、こんな職場風土でタスク・シェアを進めても単なる「仕事の押し付け合い」で終わってしまいます。
資格別に部署が分かれていて職種間の壁があるのが他業種にはない病院の特徴です。からこそ、職種間のコミュニケーションの活性化を図ることが大事なのです。
コメント