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退職場面のNG対応とOK対応(1) 

after・withコロナ――

ある看護部長さんの悩み

「看護部で離職者が相次いだため、改善すべきところは改善したいという思いから、退職する職員に退職理由を細かく尋ねたいと考えています。でも、あれこれ尋ねるのも問題があるだろうし……」

 退職理由を細かく尋ねることについてのNG場面は、退職の状況が「合意退職」か「辞職」かによりやや異なります。

「合意退職」とは、一般的に円満に辞めるための依願退職がこれに該当します。職員と病院が合意して労働契約を解約する行為であり、病院が承諾するまでは合意解約は成立しません。このため、職員の退職を認めるかどうかを判断するために退職理由を細かく確認する必要があります。

「辞職」とは、職員が一方的に「辞めます」と申し出て労働契約を解約する行為です。職員には退職の自由があるため、病院として退職理由を細かく尋ねることは合意解約に比べて合理性がないとされており、職員に「そこまで言う必要がありますか?」と言われればそれまでです。

 看護職場で日常的に多いのは後者の「辞職」のほうだと思いますが、マネジメント上は退職理由を詳しく確認しておきたい場面でもあります。

退職理由を徴取して「改善」に活かそう!

 冒頭の看護部長のお悩みのように、離職者が相次いでいるような場合、退職理由を調査して病院改革に取り組もうというのはよくあることです。

 ある療養型病院では、退職予定者にアンケート形式で退職理由を尋ねるようにしていてますが、以下のような回答が多かったといいます。

「療養病院なのに思っていたより業務が忙しいため」

「上司や同僚の教え方がバラバラで混乱した」

「師長とじっくり話す機会がなかった」

 こうした回答を参考にしながら、この看護部では上司のマネジメント力向上に取り組んでいるそうです。

 例えば、3つめの回答について、看護部長が病棟師長に確認したところ、「常に声掛けはしていて、コミュニケーションに問題はなかった」というのが師長の認識でした。この認識のギャップは上司と部下の関係ではよくあることです。忙しいからと、廊下で立ち話で済ませるのではなく、5分でも10分でも短い時間でも構わないので、ひざを突き合わせて傾聴することの大事さを看護部長は師長や主任に指導しているそうです。

 また、看護師の確保と定着のため、夜勤免除や時間指定勤務など多様な勤務形態を導入している病院では、退職を申し出てきた職員に庶務担当者が「辞めなくてもいい働き方があるかもしれません」と前置きしてから退職理由を詳しく尋ねて、本人の状況に見合った勤務形態を説明することで、実際に退職を思いとどまった職員も数人いるといいます。

 退職者に退職理由を尋ねるときは、業務改善のためなど前向きな目的を本人に伝えた上で意見徴取するというのが最低限必要でしょう。

カテゴリー: 介護 医療

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