所変われば事務長の役割と業務範囲はずいぶん変わるように思います。
病院事務長の役割と求められるスキルは、規模、機能・種別、組織成熟度、置かれている環境の違いなどによって異なり、事務長の本来業務と思われるものでも、組織により理事長や院長、他の管理職や部下に移譲している業務も相当あるようです。
私の顧問先の一つの医療法人の事務長は、組織事情により今年の春に事務長に就いた叩き上げの40代半ばの女性です。事務長に就任する前から仕事量も残業も多かったのですが、事務長就任を機にそれに拍車がかかり、毎日午前様は当たり前、週1日休めれば御の字という状況です。私へのメールはいつも深夜0時近く、相談電話も夜の9時、10時ということも珍しくはありません。まさに、「24時間働けますか-!」時代を彷彿させる働き方を強いられています。
必然的に私のサポートの仕方も他の顧問先とは異なり、法人のためであると同時に、この女性事務長の〝働き方改革〟のために日々苦慮し、工夫をしながらサポートに努めているところです。
彼女の働き方は特別だとしても、私の経験上、中小規模の民間病院の事務長は少なからず似たような状況にあると思われます。
病院事務長の主な役割と業務については別添資料を参照してください。これは、私が以前連載していた『病院羅針盤』(産労総合研究所)の2018年1月号に掲載された事務長アンケートの結果を参考に、私のこれまでの経験と取材をもとに一覧表にしてまとめたものです。
第一義的には、事務長は院長・理事長の補佐役であるのですが、その他の膨大な業務をどこまで事務長自身が担うのか、他の管理職や部下にどれだけ移譲できるかにより業務負担に大きな差が生じてきます。事務長が〝お飾り〟の存在である場合など、その下の総務課長などが業務の中心を担っているケースも少なくありません。
前出の事務長アンケートでは、アンケート結果をもとに「病院における事務長像、あり方」を次のようにまとめています。
「部下に実務を移譲し、それを見守ったり、アドバイスをする姿」
本来、私もそうあるべきだとは思います。しかし、前出の40代女性事務長には夢物語です。
サポート対象が10人いれば10のやり方があります。そのやり方に日々悪銭苦闘しながら医療機関のサポートに努めています。
コメント