2019年、当事務所では診療所(クリニック)のサポートにより注力します。そこで今回、診療所の労務マネジメントをテーマに連続投稿します。
◆診療所と病院はココが違う!
基本的なことですが、病院と診療所の違いをおわかりでしょうか。
病院はベッド数「20床以上」の入院施設を持つ施設、診療所はベッド数「19床以下」の施設を言います(医療法第1条)。病院はさらに200床未満の施設を中小規模病院と区分され、全国に8,378施設(平成30年6月末現在)ある病院の約4割は100床未満の小規模病院です。
他方、全国に10万2,129施設ある一般診療所(歯科診療所を除く)は、有床診療所(6.9%)と無床診療所(93.1%)に区分され、有床診療所はここ10年以上減り続けています。また、診療所は「クリニック」「医院」という言い方もしますが、どこの街にもある「〇〇クリニック」「〇〇医院」はみな一般診療所に区分されます。
◆診療所のスタッフは一人何役もこなして経営が成り立っている
病院と診療所のもう一つ大きく違うところは、スタッフ個々が担う役割の大きさです。病院は、医師が所属する診療部(大学病院は医局)、看護部など医療職種ごとに部署が分かれ、さらに診療報酬請求など医療事務や受付業務を担う医事課、事務部門も人事や総務など役割が細分化され、それらを統括する事務長がいます。ただ、100床未満の小規模病院になると、医療従事者が事務職を兼ねている施設もあります。
病院と比べて職員数が少ない診療所は、医療従事者が事務や受付業務を兼ねるのは珍しいことではありません。例えば、認知症治療で定評のある脳神経内科医院の場合、院長を除く職員数は10名程度で、30代前半の言語聴覚士の女性スタッフが事務長を兼ねています。患者の治療や院長のサポートをして、診療報酬制請求事務をこなし、患者の相談やクレーム対応はもちろん、厚生局や保健所等の行政の監査対応まで担います。
評判の良い診療所は、先生の腕はもちろん重要なのですが、こうした一人何役も担うスタッフによるところが実は大きいのです。スタッフの能力が診療所の経営を左右することすらあるため、優秀なスタッフの高い定着率が高業績の一因となっているケースもあります。
(つづく)
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