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“スタッフ力”が診療所経営を支える②

◆看護師はライフステージの変化に合わせて診療所等へ勤務先を移る

 医療機関(特に病院)の職員のほぼ半数は看護職です。病院も診療所も、看護職の確保と定着を意識したマネジメントが非常に重要になります。

 医療機関の離職率を見てみると、厚生労働省の調査では、全産業の平均離職率14.9%に対して、「医療・福祉」は14.5%と他業種に比べて特に高いということはありません(厚生労働省「平成29年雇用動向調査」)。ただし、厚労省の調査は医療と介護を一緒にしていますが、介護施設に限れば離職率はもっと高いと思われます。
 また、看護職だけを見ると、公益社団法人日本看護協会の調査では、正規雇用看護職員の離職率は10.9%と過去5年以上横ばい傾向が続いています(日本看護協会「2017年 病院看護実態調査」)。ただ、小規模病院ほど離職率が高い傾向にあり、また、神奈川県(14.7%)、東京都(13.8%)、大阪府(13.4%)など大都市ほど看護職の離職率が高い傾向にあります。

 看護師の転職動向には特徴的な傾向があります。それは「看護師は年齢の経過と共に勤務負担の軽い職場へ移っていく」ことです。結婚や出産、子育てなどのライフステージの変化に合わせて勤務先を変えていく傾向があるということです。例えば、20代の若い頃は激務と言われる大学病院や民間の急性期病院で働き、子育てや本人が年齢を重ねると共に比較的に勤務負担の軽い療養病院や地域の診療所、介護・福祉施設等に転職する傾向があります。

 地域差はありますが、医療機関は、依然として医師不足、看護師不足が続いています。職業別の有効求人倍率を見ても、「医師、薬剤師等」4.40倍、「保健師、助産師等」2.25倍(看護師はここに含まれます)、「医療技術者」3.16倍と、平均の1.64倍に比べて高い状況です(厚生労働省「一般職業紹介状況(平成30年9月分)」)。
 こうした「売り手市場」の医療従事者にあって、特に看護師の場合は、「職場が嫌ならすぐに辞める」という傾向がますます強くなっています。診療所が就業先として選ばれる理由は、「自宅から近い」ことはもちろん、「残業が少ない」「休みがとりやすい」「勤務時間の融通が利く」といった労働条件が優先されるためです。

 以上のことから、看護師が「働きやすい」職場環境づくりには、優秀な人材の確保と定着が必須であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

(つづく)

カテゴリー: 医療

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