◆人材募集の手段と人材紹介会社の注意点
前回までは、診療所経営を支える〝スタッフ力〟と、スタッフが辞めない診療所はどこが違うのかということについて解説してきました。最後に、診療所の人材募集の実態をお伝えします。
前にも取り上げた全保団連の「『診療所における看護職員確保アンケート』(中間報告)の概要」によると、募集効果が高い募集方法として、「職員からの紹介」(54.3%)、「ハローワーク」(51.5%)、「有料職業紹介所」(42.1%)などが上位を占めています。
この中で近年急増しているネット求人を含めた有料職業紹介所は、募集効果は高いが採用コストも高いと言われます。同調査では、紹介手数料は1診療所平均で89万円かかっています。紹介手数料は紹介した職員の年収の20~30%が相場で、例えば年間に中途採用した看護師が10人いて延べ1,000万円かかったというケースが当たり前のようにあります。
また、「短期間で職場を転々とさせて、仲介手数料を稼ぐ業者がいる」「採用した職員に聞いたところ、3か月間働くとお礼金が支給され、それ以後はいつ辞めても良いと紹介所から言われた」という声もあり、中には悪質な紹介所もあるようです。
医師や看護師の確保に職業紹介事業者を利用せざるを得ない病院では、信頼できる業者に厳選して求人を出しているところも最近は多く見られます。安易に職業紹介業者を利用して後になって大いに後悔することのないよう慎重に検討すべきでしょう。
繰り返しになりますが、診療所経営を支えるのは〝スタッフ力〟です。
「優秀な人材の確保と定着」のためにも、もっともっと労務マネジメントに関心を持っていただきたいと思います。
(おわり)
コメント