前回に引き続き――。
この病院のように、外来で土曜日の午前中勤務があり、午後を休日とし、病院の公休日を「日曜、祝日、土曜午後」と定めているケースは他の病院やクリニックでも見られます。土曜日が午前半日勤務の場合に午後を「休日」として、半日公休2回で公休1日分とカウントする。あるいは調剤薬局などで散見される、1日の公休を半日ずつ2日に分けて与えるといった運用です(図表1・2)。ただし、半日公休の取扱いについては、法的にも人材確保の面からもいくつか課題があります。
1.休日を半日単位で与えることが法的に許されるの
2.振替休日を半日単位で与えることが法的に許されるのか
3.半日の公休を年間休日数にカウントすることが認められるのか
1.法定外休日なら「半日」も認められる
労働基準法35条にいう休日とは、午前0時から午後12時までの継続24時間の暦日をいいます。そして、「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならい」(法35条1項)、例外として「4週間を通じ4日以上の休日を与えること」(法35条2項)とされ、これを法定休日といいます。
また、休日労働とは、法定休日に労働させる場合のことであり、週1回の休日等のほかに、使用者が休日と定めた日(法定外休日)に労働させる場合は含まない(昭23.12.18基収第3970号)とされます。
法定休日は必ず暦日の1日として与えなければいけませんが、週休2日制の場合に、法定休日が1日確保されていれば、他の休日(法定外休日)は半日単位で与えても法35条違反とはならないことになります。法定休日が確保されている限り、ある週については公休2日のうち、「公休1日+半日公休×2日」としても問題ないということになります(図表1・パターンB)。
ただし、図表1のパターンAのように、法定休日の問題をクリアしていても、1週40時間の法定労働時間を超えた分は時間外労働となるので25%の割増賃金の支払いが必要になります。
2.法定外休日なら「分割」も認められる
同じ理屈で、法定休日は暦日単位とされているため、振替休日についても半日に分けて分割付与することはできません。他方、法定外休日は暦日で付与しなければならないという制限はないため、半日に分けて振替休日を付与することができます。
したがって、週休2日制で日曜日を法定休日と定められている場合に、法定外休日の土曜日に労働させた場合の取り扱いについては法35条に拘束されないため、休日の土曜日に半日勤務をして、他の平日に半日の振替休日を設定することは法的には問題はありません。ただし、就業規則にその取扱いを定める必要があります。
なお、1週間とは、就業規則にとくに定めのない限り、日曜日から土曜日までの歴週をいいます(昭63.1.1基発第1号)。1週を「月曜日から日曜日まで」と設定する場合には、その旨を就業規則に定めておく必要があります。
3.年間休日数に「半日」はカウントしない
この病院の場合、ホームページや求人情報には年間休日数123日と記載していますが、土曜日の半日公休を含めての日数なので、それを除くと実質96日となるようです。年間休日数の計算方法は労働基準法に規定されておらず、厳密なルールはありません。ハローワークは暦日1日の休日としてカウントするとしていますが、これも求人媒体や会社ごとに多少変わってきます。
図表1のパターンBのような勤務が法違反にならないとはいえ、「週休1日」というのが一般的な感覚です。年間休日数は求人効果に大きく影響しますので、半日の公休を年間休日数に含めると含めないとでは大きな差が生じるのは理解できますが、職員の確保・定着には決してプラスには働きません。
私は、土曜日は午後も含めて通常の日勤と設定し、他の日に丸1日の休日を付与して休日を増やすなど、4週7休程度の設定にして年間休日数を108日~110日くらいまで引き上げることを検討してみてはどうかと提案しました。場合によっては、ニーズの高い土曜日午後の外来診療(特例時間外加算の対象)を行うことまで含めて。
今後、土曜日は通常の日勤として半日公休を廃止するなど検討するようですが、半日公休は、医療・介護業界の改善すべき労働慣行のひとつと考えます。
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