前回まで3回に分けて、評判の良い診療所は先生の腕はもちろん重要ですが、先生を支える優秀なスタッフの力も大きく寄与していることを解説しました。後編として、優秀なスタッフを確保し、定着している診療所はどこが違うのかを解説します。
◆この診療所で働き続けたいと思う理由は?
病院と比べて職員数が少ない診療所は、スタッフ個々が担う役割が大きく、看護職が一人離職しただけで大きな痛手となります。そのため優秀な人材の確保と定着のための職場環境づくりが診療所経営には重要です。それが「医療の質」の向上にも直結します。
公益社団法人日本看護協会の調査によると、看護師が勤務する職場で働き続けたいと思う「重視する職場環境」は以下の通りです。
「職場の人間関係が良好」(回答率95.6%)
「休暇をとりやすい」(同94.4%)
「納得できる収入が得られる」(同94.3%)
「上司がサポートしてくれる」(同90.5%)
「通勤の便が良い」(同89.0%)
「超過勤務が少ない」(同84.1%)
「知識・技術を習得できる」(同79.3%)
「必要に応じて勤務形態を変更できる」(同77.0%)
「研修が充実している」(同60.8%)
「夜勤がない・少ない」(同53.2%)
※日本看護協会「2017年 看護職員実態調査」
一方、診療所に限定した調査を見てみましょう。例えば、全国保険医団体連合会(全保団連)の「『診療所における看護職員確保アンケート』(中間報告)の概要」を見ると、看護職員の定着対策として効果があったものとして以下の項目が上位を占めています。
「有給休暇確保、残業縮小」(59.9%)
「業務外での親睦」(56.3%)
「近隣と同水準以上の賃金」(55.6%)
「会議で職員から意見を聞く」(53.5%)
「研修や学会発表」(41.0%)
「スタッフが辞めない診療所」というのは、労働条件や人間関係の良さなどの「働きやすさ」はもちろんですが、スタッフのモチベーションを高める「働きがい」にも注力しています。その点を次回、具体的に解説します。
(つづく)
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