「特別条項付き協定」には以下の事項を定めなければなりません。
①限度時間以内の原則としての延長時間
②限度時間を超えて時間外労働をさせる特別な事情(具体的かつ臨時的なもの)
③労使当事者で定める手続きの方法(一般的には「協議」か「通告」が多い)
④限度時間を超えることのできる回数及び時間(1年の半分を超えられない)
⑤限度時間を超える時間の割増賃金率
以上の要件を病院に当てはめてみると次のような定め方になります。
「一定期間における延長時間は、1か月45時間、1年360時間とする(①)。ただし、重篤患者の緊急対応、インフルエンザ患者集中による診療時間の延長、レセプト業務の著しい増大等(②)、特別な事情がある場合は、労使の協議を経て(③)、1年間に6回を限度として1か月60時間(④)まで延長することができ、1年420時間(④)まで延長することができる。1か月45時間を超えた場合又は1年360時間を超えた場合の割増賃金率は25%とする(⑤)。なお、延長時間が1か月60時間を超えた場合の割増賃金率は50%とする(⑤)。」
このように定めた場合、年間の時間外労働時間数の上限は、
(45時間×6か月)+(60時間×6か月)=630時間になります。
報道された月300時間の事例は、
(45時間×6か月)+(300時間×6か月)=2070時間という異常な協定内容でした。
同じ考え方で、月200時間の場合は、
(45時間×6か月)+(200時間×6か月)=1470時間が協定できる上限となります。
にもかかわらず、次のような特別条項付き協定例が実際にあります。
「1か月200時間」「1年2000時間」
「1年2000時間」の根拠はどこにあるのか、人事総務担当者が36協定そのものを本当に理解しているのか疑問です。
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