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院内研修は本当にグレーゾーンか?

研修や勉強会に出席することは医療従事者としての責務であり、自己研鑽の範疇だ――。

本当ですか?

 院内研修や委員会が労働時間とされるかどうかの論点は「出席することが義務か否か」と端的です。出席が義務付けられていなくても、出席しないと処遇面などで不利益がある場合も労働時間とみなされることがあります。
 問題になりやすいのが、厚生局や保健所から職員の出席率が厳しく問われる「医療安全」と「院内感染対策」などの法定研修です。法定研修はパート職員を含めて全職種が対象になるため、どの病院もできるだけ多くの職員に出席させようと、勤務時間内に実施することを前提に、1回30分に短縮して同じ内容の研修を年8回開催するなど、時間帯や回数を工夫している病院も多いですね。

 ある精神科病院では、法定研修を「懇親会」と称して日勤終了後にイベント形式で実施します。食事が提供され、景品も出るため、出席率が非常に高いようです。「出席を強制していないため時間外扱いにはしてない」と総務担当者は言いますが、病棟勤務の看護師が非番の日にわざわざ出て来るケースもあるようです。非番の日に出て来るって、勉強熱心だから? イベントが楽しみだから?

「時間外の研修に出ても手当がつかない」
「休日に研修に出席しても手当が出ない」

「研修・勉強会=サービス残業」の問題は、労基署に持ち込まれる看護職の相談・申告内容の〝定番〟の一つです。サービス残業が疑われるケースは実態として相当あるように感じます。強制ではなないけれど、「出席しないといけない雰囲気」が蔓延している結果、職員のモチベーションを確実に下げています。

この問題は、法律がグレーなのではなく、病院の取扱い(運用)がグレーだから職員の不満の温床になりやすいのです。

カテゴリー: 医療

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