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看護職の〝前残業〟はこうして解消しよう!

 事務部門からは気づきにくい看護現場によくある労務問題の一つが、看護職の始業前準備、いわゆる「前残業」です。

 職員が自主的に始業時刻の10分や20分前に出勤するのは一般的な風景ですが、1時間も前に出勤して準備をしているとなると話は変わります。早く出勤して「何をしているのか」という中身を把握する必要があります。
 ある病院の看護部で、始業前準備について職員アンケート調査を実施しました。

「始業前に準備をしないと不安を感じるから」
「始業時間に間に合うバスや電車の時間の都合で出勤しているため」
「駐車場が狭く駐車できない可能性があるため」
 
 こうした理由は本人の自主性の問題です。ただし、職員のほとんどがマイカー通勤という病院で、駐車スペースの確保が問題になるというのは職員のストレス解消のためにも改善が急務でしょう。

「始業前に準備をしておかないと業務に支障を来す」
「勤務時間中に情報収集や点滴作準備・ケア等の準備時間が設けられていない」

 こうした理由による早出は「労働時間」にあたる余地を残すだけでなく、職員の不満の温床になりやすいため特に注意が必要です。上司の命令ではないけれど、それをしないと業務に支障を来す、そのことを上司が知っていながら注意もせずに黙認していたような場合、「超過勤務の黙示の指示」(昭和25.9.14基収2983)と評価され、労働時間とみなされることがあります。労使のトラブルが起きた時、この職員に「始業前の準備行為はサービス残業だった」と主張された場合、「あれは自主的な行為だ」と明確に否定できる根拠があるかどうかです。
 
 始業前に早出して準備をする職員が多くいると、必然的に次のような回答も中には出てきます。

「他のスタッフが早く来ているため自分も早く来なくてはいけない」

 情報収集や夜勤入り前の患者の状態観察などを始業前に済ませるのが「安心感」につながるという看護職はたくさんいます。でも、中途採用の職員の中には「この職場はみんな早出している……」と不快に感じる職員もいるかもしれません。こうした「始業時刻より早めに出勤して準備をするのは当たり前」という風土はやはり改善すべきです。どうしても早出して準備をしておいたとしても、「30分以上前の出勤は厳禁」というように一定のルールを設けるべきではないでしょうか。

 放置しないこと。始業前準備の〝性格を知る〟こと。まずこれが重要です。

カテゴリー: 医療

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